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2010年 03月 24日
【囲師は周することなかれ】 (いしはしゅうするなかれ) 孫子の兵法の1つで、意味は、敵を取り囲むときには、完全包囲をせずに、どこかに逃げ道をあけておけというような意味です。 効果としては二つ (1)「窮鼠猫を噛む」ということわざもあるように、全く逃げ場を無くすと、追いつめられた側が「死に物狂い」で何を仕出かすか予測が付かなくなる。 (2)「逃げ道」をコントロールすることで、その先に起きる出来事が、ある程度予測可能になるので、対処しやすくなる。 実際、戦の物語でも、四門(東西南北)の一つだけ開けて、その先にワナを仕掛けたり、開いている門を逆に訝しんで逃げるのを躊躇したりという話が残っています。 今回の「生方騒動」で、急転直下(メディアによれば)小沢さんの「鶴の一声」で解任が『撤回された』と報じ、どの社も判で押したように「小沢幹事長の求心力低下」というニュースになっています。 マスコミの記事が「恨み節」のようなニュアンスなのを見ると、間違いなく「シナリオが崩れた」のは確かなのでしょう。 少なくとも、マスコミの記者も民主党周辺の取材で「解任間違い無し」というのは確信があったのでしょう。それが正反対の展開になったのですから、これまでの「生方ヒーロー」「小沢は悪」というメディアの基本スタンスからも、「小沢が負けた」という構図の記事になるのは仕方がありません。 ところで、他の問題もそうですが、大手メディアの記者さんたち話を聞いていると、どうも全ての問題で「前提」を履き違えているようです。つまり、今回の「解任撤回」というのも >自分たちメディアの「世論調査」を、気にしているからだ・・・ たぶん、これが間違っています(笑) 昨日の幹事長会見で「ANNの世論調査によると・・・」という朝日の記者の質問に、「それは承知していない」と小沢さんはおっしゃっていました。記者には「ムッとした」ように映ったのかもしれませんが、あの場合、小沢さんの心情としては「おたくの調査は、判断材料にしていない」と暗に示していたのだと思います。 最近の大手マスコミの記事が「おかしい」理由の一つは、自分たちの「前提」そのものが間違っていて、それに気付かずに論を進めるからというのもあるでしょうし、自分たちの「望み」が影響を与えているという事もあるでしょう。 つまり「感情」に影響され、さらに「根拠」も間違っていれば、それをいくら論を進めても「真実」に近づくことは永久にありません。つまり「マスコミの世論調査が影響している」という前提で民主党の行動を理解しようとするのは、そもそも無理があるということです。 (多分、マスコミがカネをかけて「正確な調査」をしたら、まったく違った「報道」をしなければならなくなるでしょう。) これまで何度も触れていますが、小沢さん・鳩山さんをはじめ、民主党の上層部は「世論の傾向」に注意しているのは当然です。 ただ民主党は、もう何年も前から、かなりお金をかけた「党独自の世論調査」を定期的に行っており、これは党上層部の非常に限られた人たちだけが知ることが出来るようです。(そして、この調査結果は、かなり正確に「選挙結果」にも当てはまるような調査。) これは残念ながら、いくら「元代表」といえども知ることが出来ないくらい秘密にされており、昨年4月、前原元代表が「党の世論調査の結果をオープンにすべき」とかテレビで言っていました。・・・つまり、彼は「知らせてもらえない立場」という扱いなのでしょう。 今回の場合、「生方騒動」を考慮した世論調査を民主党がやるハズもなく、そういう意味では「生方解任騒動」の解決に、世論調査の結果が影響したというのは、単にメディア側の「夜郎自大」的な思い込みです。 (小沢さんが本当に不愉快に感じたのだとしたら、この朝日記者の「ANN世論調査によれば」と言ったことに『尊大さ』を感じたということならありそうですが。) 「党独自の世論調査」の結果は、政権運営にも党運営にも重要な資料としているでしょうが、小沢さんや鳩山さんが「マスコミの世論調査」は、自分たちとは無関係で気にもとめていないでしょう。(不起訴の時の「もっと無実だという報道をしてくれたら、コメントします」という程度の扱い) まぁ、毎日の岸井氏などは鳩山さんや小沢さんの「顔色」を見て、党の世論調査の数字なども記事にしてくれればいいのに(笑) その問題の生方氏ですが、これは、私もそうだし友人もそう。たぶん、ネットでも多くの人が同意すると思いますが、 「生方幸夫ってダレ?」 これが、最も多い意見でしょう(笑) 少なくとも、解任の時に名前の挙がった辻恵議員は、名前は耳にすることがあり、むしろ活躍されているのは知っていました。今回の騒動で、生方議員は「会議にもあまり出ない」など、どうして副幹事長などに選ばれたのかというのが不思議なくらい、知名度も活動実績も、一般には知名度が低いことだけは確かです。 まぁ、小沢さんの「みんなと仲良くやってほしい」というのは、むしろ生方議員にとっては痛烈な『皮肉』という気もしないでもないのですが・・・ ところで、騒動が収まっても、昨日の会見後のワイドスクランブルの独占インタビューでは「小沢さんなど、怖くない」と「勇ましい発言」を続けている生方議員。 例えば、同じ会社の社員だとして想像してみれば、社長や専務の批判を「メディア」で繰広げて、上司から「叱責を受けた」と、その様子を「隠し撮り」した音声を、またまたメディアに持ち込んで(バッシングの)格好のネタを提供したけど、トップが「大事な時期だから、みんなと仲良くやってほしい」と言って「元のサヤ」に収めました。 まず、同僚の社員からは「会話を録られているかも?」と、まず勘ぐられ続けるのは間違いありません。そして幹部も「メディアにアピールして人気取りする人間」という評価です。 つまり、このまま民主党の中にいても「情報」そのものが、生方氏を迂回してしまうのは間違いありませんし、これは『隠し撮りテープ』をメディアに流したという、生方氏自身の「自業自得」です。 さらに、これまで「あまり会議に出なかった」ということで、今後「副幹事長会議」に、生方氏が出席した時には「無難な話題」しか議題にしないでしょう。・・・少なくとも「隠し撮り行為」という前科は、ずっと消すことは出来ないでしょう。 客観的に見れば、生方氏は「民主党議員」という以外に、何も無くなったということです。 大手メディアは「小沢幹事長の求心力低下」という印象を広めたいようですが、「民主党」という組織の中にいる限り、今回の生方氏の「留任」というのは、「羽をもぎ取られた状態」というか「針のムシロ」で過ごすことになるでしょう。 「解任しない」ということは、形の上では「従来のまま」であっても、例えば「解任はやりすぎ」と批判しようとしていた人たち(「反小沢派」と言われる人や、メディア・自民党など)の批判の口実が無くなるとともに、生方氏本人としても、今後「居心地の悪い」状態が、(離党しない限り)ずっと続くということです。 いずれ、生方議員は離党せざるを得なくなるか、もしくは次の選挙には出られなくなるという「議員生命」は赤信号でしょう。 タイトルでご紹介した >囲師は周することなかれ 今回の判断は、この言葉のように戦況をコントロールするという意味では、なかなか上手いやり方です。つまり、生方氏の「選択肢」を狭めることと、その後の「抑え込み」が同時に行えます。 小沢さんの「元のサヤに」という依頼を、生方氏が「ノー」と言えば、それを理由に処分もできるし、「了承」すれば、上で書いたように「批判封じ」と「囲い込み」そして、党の重要な情報も行かなくできます。 小沢さんを批判する側は「小沢が折れた」とか「求心力低下」などのような負け惜しみ的なコメントをするくらいしか批判のしようも無くなり、きっと「解任」前提で考えていた批判シナリオが無駄になって残念でしょう。 多分、メディアが「解任間違い無し」と判断していた事そのものにも、記者に対して民主党の「情報操作」もあったような気もします。・・・これは、あくまで結果論ですが。(検察・警察にも簡単にダマされる記者だから) それにしても、何となく小沢さんの“怖さ”をリアルタイムで見せられた思いです。 (「同じ手を使わない」とか「何手先を読む」という、いわゆる『小沢流』を研究するには格好のサンプルです。)
by mojo_on
| 2010-03-24 16:33
| メディア問題
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