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2008年 03月 16日
◎はじめに
以下、今回の私の記事の概略をまとめます。尚、今回は図なども多いので「主張の概要」は、ここを見てもらい、必要に応じてリンク先の説明を見ていただければ良いと思います。 今回のテーマは「『繊維鑑定』から分かること」です。 「判決要旨」が公開された時、色味の違う3種類の繊維が出たという記述と、それが(手じゃなくて)ネクタイから出たという事が書かれていました。そして手からは「一種類の青い繊維」しか出ていない。 私は当時から、「空気中にたくさんあるから」を理由に、手から出たという綿の繊維に関しては「怪しいな?」という印象を持っていました。(被害者の下着の繊維ではない可能性が高いという意味です) 直接触れたことを示す証拠として有効な結果が出たのなら、下着の繊維を鑑定結果として提出すると思います。なのに、検察は下着の繊維に関しては「自主的に」出さないのです。 例えば、こう考えることも出来ます。触っていたという「右手」のみならず「左手」からも下着の繊維と同じ「無色の木綿繊維」が多数検出されていた・・・ もしも両手から、綿繊維が出たのだとすれば、逆に「無実の証明」につながります。検察は「犯人は右手だけが、下着をさわっていた」という犯行で起訴しているのですから。 少なくとも、科捜研の研究員のニュアンスは「両手から(下着と共通する)無色の木綿繊維が多数認められる」という鑑定結果だったようです。これが証明しているのは、植草さんの手の付着物は、検察の主張する「痴漢行為」とは別の要因で手に付着した可能性が高いのです。 実は、科捜研の鑑定は「光学顕微鏡で、色味と繊維の特徴(鱗片)を見た」とのことですが、私が調べた範囲でも、もっと詳細に「絞り込む」ことが可能なのです。 一審の検察官は「手に青い繊維が付着しているから、触っていた」と偏った判断をしていますが、より細かい鑑定は可能だし、そうすれば植草さんの『無実の証明』につながったと思います。 ◎事実関係の整理 (関連記事→<1、論点整理>【ア】関係資料と論点整理)←公判資料や報道記事 これらの資料の中には、重要な事実がいくつかあります。 この「繊維鑑定」は、第三回公判で科捜研の市川さんという方が、鑑定の説明などの証言をされました。以下、その際に出てきた事実関係を整理すると、 ・植草さんの両手から「青い繊維」が出た ←「類似/異なる」の「類似」という結論 ・「綿繊維」は、証拠として提出されなかった ←どこにでもあるという理由で ・弁護側の鑑定では、一歩踏み込んだ「極めて似ている」という結果が出ている ・3種類の『色味』の繊維が、ネクタイに付着していた ←自殺未遂で、手から移った? さらに、私が特に重要だと思うのは、次の三点 (1)植草さんの手からは「強い青色」の繊維が三本・・・これは、弁護側の鑑定では「京急職員の制服」または「どこにでもある繊維」という結論 (2)対して、ネクタイから採取された繊維は3本で、色調は3種類ということで、この「色調」が被害者のスカートの繊維の色と合っているということは、被害者のスカートの繊維は「複数の色調の繊維」によって構成されている。←3本というのはZAKZAKの記事による。情報によっては4本という話もあったようです。 (3)下着の繊維を出さない不思議(付着していたという) >研究員によると「(植草被告の手と)類似した無色の綿繊維が多量に認められた」というが、無色の綿繊維は「多くの衣類やタオルなどにも広く使われている」ため、鑑定書には採用されなかった。 もっとも『直接的な根拠』となるハズの、下着の繊維を証拠として提出しないというのは、どうも引っ掛かります。 ★私の推測 これらの事実関係を整理すると、一つの『推測』が成り立ちます。つまり、一番重要であるハズの下着の繊維について、検察が「出せない事情」があったのではないか・・・と 検察側の主張によると、「痴漢行為」は ・被害者の背後にピッタリと密着し ・両手て、女性のスカートの上から触り ・エスカレートして、右手がスカートの中に手を入れて下着の上から触った ということになっています。 この場合、繊維鑑定で被害者の下着と「同じような繊維」が、犯人の「さわっていた手に付着」していれば、客観的にも「犯人」だと判断できます。ただし、次に繊維の同一性が争点になるとは思いますが。 今回の事件では、犯人は「右手だけ」しか下着を触っていない「容疑」なので、この場合は「右手と左手で、繊維の分布が違う」とか「右手に妙に綿繊維が付着している」という結果が出れば、これも十分に「犯人」とする有力な根拠となります。 つまり、「よくある綿繊維」であっても、その『付着状況』からでも、十分に「犯人かどうか」を判断する要素はあるのです。 先ほど述べたように、どうやら検察側としては「綿繊維の鑑定は、出せない事情」があったと考えた方が良さそうです。それは >植草さんの両手ともが、同じような綿繊維の分布だった つまり、検察官にとって「好ましく無い結果」だったのです。しかし、これは被告側にとっては『無実の証明』につながります。私たちが冤罪の事例にぶつかる時によく目にする「被告に有利な証拠を隠す」パターンなのです。 私は、今回のエントリーを通して、検察側の「恣意的な(手抜き)の繊維鑑定」という事を説明したいと思います。つまり、天下の科捜研です。当然、電子顕微鏡もあるでしょうし、色の比較にはスペクトル分析なども可能だと思います。 なのに、「光学顕微鏡」で見ただけという鑑定書で、しかも重要な「綿繊維の分布」については(被告に有利な結果なので)隠してしまう。私たちは、こういう検察官の「卑怯な行為」を、きちんと批判していく必要があると思います。 ★さらに重大な『疑惑』 どうも、繊維鑑定に出された繊維の『分布』には違和感があります。つまり、手から出た綿繊維や青い繊維が、他の要因(青色繊維は、駅員の服からとか)だとすると、ネクタイから採取された「3種類の繊維」は、どういうプロセスで付着したのかがナゾになります。 判決要旨では、「同スカートの構成繊維と類似した色調の獣毛繊維が付着していた」となっていますが、ネクタイに付着していた繊維が、スカートと同一だとすると、「偶然に付着する余地が無い」ということになります。つまり「誰かが意図的に付着させた」可能性が強くなってきます。・・・これに関しては、最後に私の『推測』で述べます。 仮に、植草さんの手に付着していた繊維が、駅員の制服の繊維だとなり、ネクタイの繊維が「スカートと同一」となると、これは「駅」から「蒲田署」のどこかで、誰かが細工をした可能性が高くなります。つまり「でっち上げ」の重要な根拠が見つかったことになります。 控訴審では、もう一度、詳細な「繊維鑑定」をする必要がありそうです。少なくとも、弁護側は「最終弁論」において、繊維鑑定に対して意見を述べているので、異論は無いと思います。 果たして、検察が「繊維鑑定」を受けて立てるか、必死に「不同意」にするのか・・・ ◎「繊維鑑定」一般 (関連記事→<2,繊維鑑定>【イ】繊維鑑定とは) 以前、ゆうたまさんのブログへコメントで「一般的な繊維鑑定」について紹介したコメントがありますので、ご紹介しておきます。 ttp://yuutama1.blog.shinobi.jp/Date/20070622/1/ ポイントは、顕微鏡による検査の「鑑定の料金」は最も安いので、かなり簡易的な検査しか科捜研では行わなかった(ことになっている)のです。 私は、検察があえて「詳細な検査」を行わなかったのだと思います。 ◎犯罪捜査に関連した検査 一般的な「繊維鑑定」の場合、被害者の衣服に『触っていた証拠』となる繊維が、被告の手から検出されるかどうかを調べるものです。 植草さんの場合なら、優先順位としては「被害者の下着の繊維」が第一、次が「スカートの繊維」、そして被害者と加害者の双方が接触した可能性として「双方の衣服の繊維の有無」という風に、証拠能力としても違いがあります。 つまり、女性が「触られた」状況と合っているかどうかを判断する際に「繊維の付着する機会」の可能性を絞ることが出来れば、大きな根拠となり得ます。 逆に、付着する可能性が複数あると、その時点でアウト。 もしも検察が「触っていた証拠」と主張するなら、その付着していた繊維や因果関係を「被告しか有り得ない」と、さらに別の根拠を加えて証明する必要があり、現実的では無くなります。 もともと、これまでも「繊維鑑定」は、裁判においては「有罪」だとしても植草さんの一審の判決要旨のように「矛盾しない」と参考程度にしか扱われず、どちらかというと「ウソ発見器」同様に、捜査員が(ウソをついている場合に)被疑者を動揺させるために使う事が多く、これは映画「それボク」でも似たシーンがありました。 ◎「繊維鑑定」からわかること (関連記事→<2,繊維鑑定>【ウ】繊維について) (関連記事→<2,繊維鑑定>【エ】検査項目と、検査方法) 前述のとおり『繊維鑑定』は場合によっては「無罪の証明」にもなります。検察が、最も重要な「下着の繊維」を証拠提出しなかった事から、私は >「無色の木綿の繊維」が両手から検出されていた このような推測をしています。 これは、証拠として出されていない以上「推測」になるのですが、両手に「無色の綿繊維が付着していた」という“事実”は、次の二つの可能性しかありません。 A)「別の場所で付着した」か、 B)「下着まで、両手で触っていた」←被害者の下着の繊維なら 少なくとも、検察目撃者T氏も、被害者も「左手は、スカートの上から」とのことなので、上記の(B)は検察側の主張とも矛盾します。 植草さんの手の「無色の綿繊維」が両手に均等に付着しており、しかも検察が「証拠提出しない」というのは、「提出すると、不利になる」要素があるから、出したくても出せないのであって、「よくある繊維だから」というのは、苦し紛れだという事が分かります。 「霞っ子クラブの傍聴記」では、二人ともが ーーーーーーー それならこの鑑定って何の為やったの? という疑問だけが残りました。 なんでこんな鑑定をしたんだろう… この裁判でめちゃくちゃしこりが残りました。 ((・∀・)<毒人参。さん) 証人の言っていることは理論的にはもっともなんですが、話を聞くたびに、じゃあなんでこの鑑定をしたのか?という疑問が大きくなりました。 蒲田警察、なんで依頼したの? そして、『同一』っていうのはよほどまれな場合って知ってたのであれば、なぜ鑑定を引き受けたんでしょうか? 100件の繊維鑑定に意味はあるんですか? 蒲田警察としてはなんとしても確実な証拠がほしかったのだろうとは思うのですが、警察の勇み足っぷりばかりが目に付く裁判でした (ユキさん) ーーーーーーーー 第三者が「中途半端な印象」を持つのは、上記のように「強引な結論」を引き出そうとして、「客観性」が失われている証拠でしょう。 ◎手指の「付着物検査」の採取日時 ところで、それボクでも「痴漢犯人」として連れてこられた被疑者は、その場ですぐに「付着物検査」をされるようです。あくまで、認めていない場合だけみたいですが。 科捜研の鑑定人は、植草さんの手から採取された繊維について「無色の木綿繊維多数」と「両手から青い繊維(一種類だけ)」という結果を報告しているようです。この当時の様子を、植草さんはご自身の著書で >さらに、粘着テープによる付着物検査が両手10本分行われた。私はこの検査を喜ばしく思った。しっかりとした物的証拠になるはずだからだ。(「知られざる真実」p216) この流れを見ると「微物採取」は事件直後の蒲田署内において、アルコール呼気検査の後に行われたようです。つまり、その日のうちに「手の付着物の採取」が行われています。←当然ですが。 そして、この検査を植草さんは「無実の証明」として積極的に行ったようです。 普通に考えて、本当にやましい人なら「チョット待ってほしい」とか「そういえば、偶然触れたかもしれない」と「言い訳」するパターンですが、どうもそうでは無いようです。下に述べることと総合すると、この際の付着物検査では「被害者の繊維」が検出されなかったのではないかという気がしてなりません。 つまり、植草さんの手の繊維鑑定の結果は「シロ」の可能性が高い結果が出てしまい「別の証拠」が必要になった。それが、つぎの「ネクタイに付着した繊維」につながる・・・ ◎ネクタイの繊維鑑定は別の日 ところで、霞っ子の傍聴記では、ネクタイに付着した繊維に関して、 ーーーーーー でも弁護士はフッと笑いながら「いやそういうことではなくて、3日間残ったりするんですか?」と聞きました。 3日間残る…?ずいぶんおおざっぱな質問です! どういう環境で3日間? ーーーーーー このようなやり取りがあります。 この「3日間」というのが、不思議だったのですが、↑のように「ネクタイの鑑定は、事件直後じゃなく3日後(後日)なのかな?」と考えれば納得が行きます。 つまり、植草さんの「手の付着物検査」は事件直後にテープで採取してあったけど、ネクタイは別の日に検査した事が書類の記録に残っており、弁護士さんはその書類の日付から「日にちが経っても、そのままなのかどうか?」を尋ねたのではないでしょうか? 「ネクタイ鑑定」の根拠として、霞っ子の傍聴記では ーーーー また、植草教授は京急蒲田駅で捕まった直後にネクタイを首に巻きつけて自殺をしようとしたと言われていますが、その自殺に使われたネクタイにも植草教授の手指からの付着物がついているのではという考えからか、ネクタイの繊維鑑定(ネクタイ繊維に被害者の衣服の繊維が含まれているか)も行ったそうです。 ーーーー これは、たぶん「後付け」でしょう。 被告が真犯人なら、ネクタイの繊維採取が数日後に行われるのはヘンです。 なぜなら、直後に最も可能性の高い「被告人の手」から、すでに繊維を採取しているのに、改めて「ネクタイ“も”後日調べる必要がある」ということは、当初、手の方からは「思うような結果が出なかった」からしか考えられません。 つまり、植草さんの手からは、思うような結果が出なかったから、取調官が「そうだ、アイツは自殺未遂してネクタイを触っていたなぁ。それも調べてみよう」とでも思いついたという事でしょうか? ◎「ネクタイの付着物」の証拠能力 ところで、先にも述べたのですが、繊維鑑定の場合「繊維が付着した由来」が特定できなければ、何の証拠にもなりません。 繊維鑑定では「この人しか有り得ない」という証明も重要です。これは仮に「被害者の繊維」だと断定しても、付着する可能性が複数ある場合には「可能性の一つ」でしかなくなります。 「科学鑑定」の目的は、可能性を排除していった結果「この結論しかない」と導く手法なので、複数の可能性が考えられる場合には、証拠能力としては著しく客観性が低くなるのは、はじめに述べた通りです。 ネクタイに関しては「触れた人物」を時系列でみると ・・・・・・・・・・ 植草さん(日中〜事件まで) ↓ 植草さん(自殺未遂)・・人物1 ↓ 蒲田駅員(取り上げた) ↓ 同駅員(ズボンのポケットに入れた)・・人物2 ↓ 駆けつけた警官(駅員から渡された)・・人物3 ↓ 蒲田署で保管・・(人物4?) ・・・・・・・・・・ 「疑惑のネクタイ」は、このプロセスを経ており、事件後に、本人も含めて最低3人の手を介しているのです。つまり、普通はこの段階で「複数の付着する可能性」が考えられてしまうので、科学的な根拠に薄いのです。それでも取調官は「ネクタイを調べてみよう」と閃いたのでしょうか? (推測ですが) 取調べ官は、ネクタイから「何か出てくるハズ」という確信があったのではないでしょうか? つまり、被告の手からは決定的な繊維が出なくても「ネクタイから、スカートの繊維が出てくる」というような『予感』があったのかもしれませんね。イヤ、きっと出てくる・・・と(笑) ◎「青い繊維」の正体(手から、ネクタイから) 「判決要旨」では、繊維鑑定に言及されたのは以下の部分だけです(全文引用) ーーーーーーー (2) 被告人の指から採取した付着物に、被害者のスカートの構成繊維である強い青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維が付着していたこと、付着していた繊維は被告人の背広の構成繊維と異なること、被告人のネクタイの付着物に、同スカートの構成繊維である明るい青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維、さえた青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維、強い青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維が付着していたこと、付着していた各繊維は被告人の背広の構成繊維とはいずれも異なることが鑑定されており、これらの事実は、被告人が被害者の背後に密着し、そのスカートに触れたことと矛盾せず、被告人が犯人であることに矛盾しないといえる。 もっとも、これらの付着していた各繊維は前記スカートに由来すると判定されたものではなく、他に由来する可能性も否定できるものではない。よって、前記鑑定結果は、被告人が犯人であることに矛盾しないという限度でのみ、被告人が本件の犯人であるとする被害者および目撃者の各供述の信用性を支える事情の一つとなる。 ーーーーーーー (関連記事→<3,制服の繊維と色>【オ】「色見本」と見え方) 今回の「判決要旨」の表現は、霞っ子では >スカートの獣毛繊維を構成しているのは、明るい青、強い青、冴えた青、(以上色見本の名称)だそうですが、 と、「色見本」で使われる表現の引用です。 つまり色見本での表現で、この「青」の前のコトバは 「強い」=>「strong」 「明るい」=>「bright」 「冴えた」=>「vivid」 の意味なので、だいたいどういう色なのかを絞り込むことができます。 <実際の色の特定> 一応、このような色味の違う繊維だということです。 霞っ子のスケッチではこのような繊維なので、だいたい100〜200倍程度の拡大で判断したようです。 ★ア_02、霞っ子のスケッチ ★ア_03、羊毛顕微鏡写真(50倍) ★ア_04、羊毛顕微鏡写真(200倍) 科捜研の研究員が見た繊維に近い状態だと思われます。 例えば、上記のように、200倍程度でスケールの形も分かります。仮に電子顕微鏡を使えば、さらに細かい部分も分かると思います。 (関連記事→<3,制服の繊維と色>【カ】制服の特定/京急の制服) 上記の「判決要旨」ほか、一審の公判を通して繊維鑑定に関連して『事実』と認められた項目を整理すると、 ・被告人の指からは、一種類の繊維=「強い青色」の獣毛繊維 ・ネクタイには三種類の繊維=「明るい青色/さえた青色/強い青色」の獣毛繊維 ・これら「獣毛繊維」は、ウール(羊毛)だと思われる ・被害者のスカートの構成は4種類の繊維(素材か色味なのかは不明) (関連記事→<2,繊維鑑定>【キ】ウール・獣毛について) 植草さんの手から「青い繊維」が検出されたという事ですが、これは「一種類」で「両手」からです。この繊維は、科捜研の鑑定によると『類似する』という結論です。 弁護側が独自に調べた繊維鑑定では、手に付着した(とされる)青色繊維は、京急駅員の制服と「極めて類似する」という鑑定結果が出されたとの事ですが、これは残念ながら証拠採用されませんでした。 (最終弁論の意見陳述) ーーーーーーーー 蒲田警察署で粘着テープによる私の両手指10本分の付着物採取が行われました。検察官は科学捜査研究所に付着物の鑑定を委嘱し、証人として出廷した科学捜査研究所の市川研究員は、付着物として採取された獣毛繊維3本が被害者が着用していた紺色スカートの構成繊維に類似していると証言しました。これに対して、弁護団は私が蒲田駅駅務室内で2度にわたってもみ合った京浜急行蒲田駅職員が着用していた紺色制服と同一の制服生地を入手し、静岡大学の澤渡千枝教授にその生地の構成繊維と手の付着物から採取された獣毛繊維との同一性に関する鑑定を委嘱しました。その結果、駅員が着用していた制服の構成繊維が私の手の付着物から採取された獣毛繊維と「極めて類似している」との鑑定結果が提示されました。 ーーーーーーーー (関連記事→<2,繊維鑑定>【ク】顕微鏡と電子顕微鏡、および細かい表面の違い) ★ア_05、いろいろな物質 被告人の手から採取された「強い青色」の繊維について、科捜研の鑑定では「類似する/異なる」のうち「類似する」との結論ですが、弁護側の民間の鑑定では、「極めて類似している」という結論が出ています。たぶん民間では「色味」のみならず「表面加工」ほか、複数の側面から判断しているのでしょう。 天下の科捜研に(予算の都合などで)光学顕微鏡しか無いという事は考えられません。これらの特徴は、電子顕微鏡があれば十分識別可能なのです。 この双方の鑑定結果の違いが示しているのは、科捜研は「青い繊維」以上の鑑定結果は出来てもやらなかったか、その結果を検察官が出さない(隠している)のです。 ◎「ネクタイ繊維」のナゾ (関連記事→<3,制服の繊維と色>【ケ】ネクタイの付着繊維) たとえば、200倍の光学顕微鏡でも、かなり繊維の違いは判別可能です。報道では、科捜研の研究員は >「色、形、太さが似ていた。鱗片を観察して形と並び方も似ていた。『髄』(繊維の特徴の1つ)がないのも双方、一致していた」 これは「電子顕微鏡」による形状のチェックのように思えるのですが、弁護側の主張(最終弁論)には >光学顕微鏡で精密な鑑定はできない。 >色調に関する鑑定基準が不存在 >光学顕微鏡は色調の鑑定に適さない >繊維の形状の類似性に関する市川供述の信用性はない と「光学顕微鏡」しか出てきません。上記の「鱗片」や「髄」というのは、「ZAKZAK」にしか記述が無いので、もしかしたら「飛ばし」かもしれません。または、鑑定書には記述が無く、弁護士さんの質問か検察官の口答の質問に対して「ウールの表面の(一般的な)見分け方」のやり取りで出ただけかもしれません。・・まるで「鱗片や髄が一致している」ような文章ですが、実はそういう「コトバ」が出ただけとか。 ところで、仮に「鱗片」や「髄」を、科捜研の研究員が一致したと証言したのだとしても、その『結論』は >色、形、太さが「類似している」そうです。 ところが、弁護側が独自に依頼した、駅員制服の生地の構成繊維と手の付着物から採取された獣毛繊維との同一性に関する鑑定の結果は >「極めて類似している」との鑑定結果が提示されました。 とのことです。 この「民間の鑑定結果」は、今回の蒲田の事件において、重大な事実を提示しています。つまり、植草さんの手に付着していた「青い繊維」が、京急駅員の制服の繊維の可能性が高いとともに、 →では、ネクタイの「3種類の青い繊維」は、どこで付着したのか? 何度も述べますが、検察官は被害者の下着の繊維に関して「どこにでもある繊維だから」という事で、証拠請求から外しています。でもこれは不自然なのです。仮に「どこにでもある繊維」でも「触っていた手に付着していた」という事実は重要です。むしろ違う理由を隠すためなのです。 >無色の綿繊維が、両手に付着していた これを証拠として提出してしまうと、逆に「無実の証明」になってしまうから。 検察側の主張は、被害者の下着を「右手だけでさわった」という容疑なので、その「触っていた繊維」が左手からも出ているとなると、この結果は「限りなくシロ」を証明する事になる。 つまり、検察としては「下着の繊維」を証拠として出してしまうと、逆に「無実の証明」になってしまいます。・・・「どこにでも有るから」ではなく「両手に存在しては困る」からなのです。 ◎繊維がネクタイに付着したプロセスのナゾ 「綿繊維」も「青い繊維」も植草さんの両手から採取されて、しかも手の「青い繊維」が京急職員と二度もみあった際に付着したのだとすると大きなナゾが残ります。 >じゃあ、ネクタイから採取された『3種類の青い繊維』はナニ? 「色見本」でも分かるように、明らかに「別の色調(トーン)」という事で、その色味が被害者の制服の繊維と矛盾しないのであれば、『何らかの原因』で被害者の制服の繊維が付着したということになります。 この中の「強い青色」という繊維が、素材がウールであり「植草さんの手」「京急駅員の制服」「スカートの繊維の一本」とが似ているために、科捜研の研究員は「手とスカート」、民間では「手と駅員の服」のそれぞれが似ているという結論を出したのかもしれません。 でも、民間鑑定の結果から植草さんの手には、もともと「被害者の繊維」は付着していないのです。 ・植草さんの手には、被害者の衣服の繊維は無い ・植草さんのネクタイには、被害者のスカートと同じ繊維が付着している やはりこれは、おかしいでしょう??? もともと「手よりも、ネクタイに多く検出された」という時点で不思議な現象(科学的には有り得ない)のですが、(冤罪の)刑事裁判では、ときどき目にする光景なので、個人的には驚きはしませんが。 (一言でまとめると) まず、検察官が意図的に、都合の悪い証拠を隠し、それに加えて(何者かが)被害者の制服の繊維を、ネクタイに付着させて、植草さんを犯人に「仕立てあげようとしている」という疑いを持たざるを得ません。 問題は、繊維を付着させたりすることが「可能かどうか?」だけです。 ◎まとめ 以上、整理します。 まず、今回の「繊維鑑定」に関しては、下着と同じような繊維が植草さんの「両手から」採取されたために、無実の証明となるので、検察官は意図的に証拠から外した。 でも、手から採取した中に「青い繊維」があり、これは被害者のスカートと色味・素材が類似しているので、犯行の「有力な物証」となりうると判断。(民間の鑑定では、京急職員の制服と「極めて類似」の結果) 無色の綿繊維に比べれば、スカートに似た「青い繊維」という方が、まだマシと考えて、検察官はこれを「犯行の証拠」とすることに決める。 (ここで別の問題が。事件直後は、植草さんが女性の「右後方で触っていた」容疑だった) 手から採取された青い繊維は「両手から」出ているので、被告がスカートを「両手で触っていた」としないと、容疑事実と矛盾する。 (この段階で「犯行状態」を変更した) それまで犯行は、被害者の右後方で「片手で触っていた」ことが前提でマスコミにも発表していたのですが、この「繊維鑑定」を根拠とするために「両手での犯行」に変更。 (ここで、ある種の『悪だくみ』が始まる) 私の予想では、この「両手に変更」したのが事件から「3日後」あたりじゃないかと思います。偶然にも、検察側目撃者T氏が名乗り出た時期でもあります。 しかし植草さんの手から「思うような結果」が出なくて、両手から出た一種類の「青い繊維」では、どうも心もとない。何か、もう少し説得力のある証拠が欲しい・・・ ネクタイの繊維の採取が、植草さんの手の採取から3日後に行われたのだとすると、このネクタイは駅事務所で駅員から取り上げられた後は「駅員→警官(I氏?)→蒲田署で保管」つまり、植草さんの手元から離れてしまっているのです。 警察署で管理されている場合、植草さんの手から採取した粘着テープに比べて、ネクタイの方が(被告の私物として管理されているだけなので)接触は容易でしょう。粘着テープの方は、“私物”ではなく捜査に必要な重要な証拠なので管理も厳しいと思います。 例えば、誰かが「細工」をするなら、手のテープに比べて、ネクタイ(や、当時着ていた服など)に、被害者のスカートと同じ生地をこすり付けるだけでも、スカートの繊維を付着させる事は可能です。特に、スーツなどに比べれば、ネクタイなんかは、こっそりと繊維を付着させるには、もってこいの品です。 ↑ これは、あくまで「可能性」の話です ・どうして多くの人が触れた「ネクタイ」を、検察官が調べることにしたのか ・ネクタイは、事件直後ではなく、植草さんの手から繊維を採取した数日後なのか ・接触していないのに、どうしてネクタイにスカートの繊維が付着しているのか これらの「おかしな点」は、ネクタイに何者かが「細工」したとすると、かなり辻褄があってきます。つまり、植草さんを痴漢犯人に仕立て上げるための『証拠の捏造』が疑われます。 >何者かが、ネクタイに被害者の制服の繊維を付着させた まぁ、これが可能なのは限られますが(笑) そういえば、青木巡査の「怪しげな証言」も、組織をあげて「でっち上げ」を行っているのなら、納得です。実際には単に“所轄”レベルではなく、もっと上部組織からの指示ということでしょう。 そして、現在も続いていますが、ネットのいわゆる『アンチさん』たちの誹謗中傷が止まないことも、「悪だくみ」に協力しているという動機面を仮定すれば、つじつまが合います。 弁護側が独自に調べた「民間の繊維鑑定」の結果は『でっち上げ』の裏付けにもなると思います。「有罪判決」を下した一審では「(駅員の制服と)極めて類似」という鑑定結果を採用する事は、実は絶対に出来なかったのです。 検察側の科捜研が「光学顕微鏡で見た色調」だけなのに対して、民間では電子顕微鏡などを使った「表面状態」や「加工方法」なども考慮して、同じウールでも、かなり細かく同一かどうかの判別が可能であり、現にその結論として「極めて類似」という結果を出しています。 科捜研は、色だけで「(被害者と)類似」 民間の鑑定では「(駅員と)極めて類似」 もしも公判で、弁護側の準備した証拠を採用してしまうと「客観性の高さ」という面から見れば、無視できなくなる。これは植草さんの両手に付着した「青い繊維」は駅員のものであり、さらに被害者の「下着の繊維」だと検察が主張する「無色の綿繊維」を証拠として提出しないことから、実は両手とも同じような付着状態だったと思われます。だから弁護側の証拠採用を「できなかった」というのが正直なところでしょう。 つまり植草さんは 「触って“いなかった”可能性が高い」 という「無実の証明」になります。「有罪」という結論を出すには、この弁護側の繊維鑑定というのは、絶対に裁判上での証拠として、認めることは出来ないのです。 ただ、私たちは「真実」を知りたいので、公判で証拠採用されないから信用性が低いというのではなく、あまりにも検察側や有罪の判決に都合が悪い証拠でも、証拠として採用されない事もあるという事を知っておく必要があると思います。 検察は「科学鑑定」に限らず、どうしても都合の良い証拠しか出さない(都合が悪いのは隠す)ので、その体質も頭に入れておかなければなりません。 <補足> 先日から、私は「真犯人は存在しない」というのは、この痴漢事件は、証拠とともに「蒲田署内で作られた(でっち上げ)」可能性が高いと思います。 志布志事件で明らかになったように、主に「証拠の捏造」は、現場である警察の方が行い、検察官はそれを追認する形で、ズルズルと悪だくみに組み込まれて行くというのが、現在の我が国の司法制度の『欠陥』となっているのだと思います。
by mojo_on
| 2008-03-16 11:05
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